『旧岩崎邸 • 東京デザイナーズウィーク』見学会

『旧岩崎邸』

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平成17年11月2日(水)に旧岩崎邸 • 東京デザイナーズウィーク見学会を実施致しました。遠方にも関わらず、14名の方がご参加くださいました。

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旧岩崎邸は三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎氏の長男、岩崎久弥氏の旧宅です。洋館と和館を併設する典型的な明治期の大邸宅です。設計はイギリス人のジョサイア・コンドル氏によるもので、明治29年(1896年)に完成。建築面積160余坪の洋館とそれに続く和館、撞球場(ビリヤード場)を見学しました。洋館の装飾には17世紀のジャコビアン様式が取り入れられ、全体的にはイギリス・ルネサンス風。

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まず、入口を何気なく通り過ぎようとすると、「それはミントンのタイルですよ」と係員の方に一言。言われなければ通り過ぎてしまう所、たしかにそれはイスラム風のモザイクタイル。しかも目地なしの繊細なデザイン。しばし入口で撮影会。玄関上のステンドグラスは幾何学模様がモダンなデザイン。季節や見る時間によって様々な見え方がするそう、心憎いばかりの演出。建具や枠一つとっても重厚なデザイン。実は直線は使用しておらず、若干中央部がふくらんでいるとのこと。

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2階は主にゲストルーム。海外からの宿泊者が年に数回訪れた時の為の部屋とのことだが、その豪華さに唖然。各部屋ごとにそれぞれ宿泊者に合わせた内装装飾を施しているのだとのこと。特殊な技法の壁紙、折り上げ天井や格天井にシルクのペルシャ刺繍の天井材、様々な樹種の無垢材を用いた組子の床。ベランダの手すりの装飾やイスラム風のモザイクタイル。どれをとってもデザインの優れたものばかり。2階にある水洗トイレは、英国ロイヤルドルトン社製。このトイレがあったが為に第二次世界大戦の空襲の標的にならずに済んだとのこと。

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洋館から続く和館への雰囲気は低めの船底天井に地窓で坪庭を見る、日本建築の良さが感じられる。広縁には一枚板の天井、書院造りの床の間に配された四方柾目の床柱など、どちらも入手困難な貴重な材料を使用しているとのこと。随所に匠の技を感じることができた。

『東京デザイナーズウィーク』

そもそも「東京デザイナーズウィーク」自体どのように行われているのか、HPや雑誌からの断片的な情報により手探り状態でした。神宮外苑をメイン会場として、東京中を巻き込んだデザインイベントという表現があてはまるのではないでしょうか。

昼食会場の「セラン」もカーサブルータスとのコラボということで店内にパネルが展示やイームズなどの名作椅子が使用されていたり、INAXのサティスのトイレだったり(さりげなくコースターのデザインもカーサブルータスでした!)徐々に期待は高まってきました。

いちょう並木を通りメイン会場の神宮へ「100%デザイン東京」は、企業やデザイナーによる新しいデザインの発表の場となっており、家具・照明・小物などジャンルを問わずに展示している為、見る方によって刺激の受け方がさまざまだったのではないでしょうか。

コンテナ展は、素材や光・音・映像を駆使し、限られた空間をどのように表現するか、学生展示は発想のおもしろさ、どちらの展示も物をカタチにする、表現する難しさを感じました。共通して言えることはデザインや物作りに対するエネルギーの大きさを感じることができたことでしょうか。
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今回の見学会は、世界の住宅史においても希有とされている建築物と最新のデザインという相対するものを一日で見学したわけですが、どちらも創造することに関して妥協を許さないその考え方に学ぶ所も多くあったのではないでしょうか。

今回の見学に際しまして、大変詳しく専門的なご説明をしていただいた旧岩崎邸観光ガイドの方(実は福島にゆかりのある方でした!これも何かのご縁…。ICの試験勉強を思い出した方も多くいらっしゃったのではないでしょうか)にこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。合わせてセミナー委員より、今回は初めての試みで移動に際しましては不行き届きな点がありましたことお詫び申し上げます。

Report:喜古 美千代